■ぶどうの雑学・歴史
ブドウ科の植物で、コーカサス山脈が原産地です。(トルコとロシアの間)
ぶどうは英語で:Grape(グレープ)
漢字で書くと:葡萄

ぶどうの歴史は古く、紀元前3000年の古代エジプト時代から栽培されていました。
現代でも世界で最多く栽培されており、地球人に一番愛されている果物です。(ワイン用にですが………)
日本に入ってきたのは結構古く、12世紀頃の鎌倉時代初期頃になります。
この時期から甲斐国勝沼(かいのくにかつぬま)で栽培がはじまり、明治時代以前はこの地域の特産品になっていました。日本でワイン作りが本格的に始まったのも丁度この時期です。
ぶどうは、日本では食用として栽培されることが多いのですが、世界では約8割がワインの原料として生産されています。
ぶどう全体では5000種以上の品種があり、その中でもワインの原料となるのは100種類程です。
同じ品種であっても、栽培する地域によって気候や土壌の環境が異なるため、収穫されるぶどうの味もその地域によって異なります。
栽培方法によっても違いが現われるため、それらの事情がワインの品質の違いに深く影響しています。
旬は8月~11月で、夏から秋の時期です。
国内の主な産地は、山梨、長野、山形、岡山などです。

■葡萄に含まれる栄養素、働きと効果
◎葡萄に含まれる栄養素、働きと効果その1・葡萄に含まれるビタミン類
葡萄に含まれるビタミンは………残念なことに全滅と言ってもいいくらい、へっぽこプーな状況です。
一日の推奨量や目安量から考えても、数十分の1、数百分の1程度しか含まれておらず。どう頑張っても褒める術がありません。
ぶどうはビタミンに関しては全くの役立たずです。

この役立たずがッ!解説が楽じゃねーかッ!逆に有り難いよコンチクショウッ!
◎葡萄に含まれる栄養素、働きと効果その2・葡萄に含まれるミネラル類
ぶどうのビタミン事情はへっぽこプーでしたが、ミネラルはというと………こちらも見事なまでにへっぽこぴーです。
多いとも言えなくも無いけど、カリウム、鉄分、銅、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などが含まれています。
多い事も無いけれど………まあギリギリで合格点………それでも補欠合格程度ですが、合格点を恵んでやるとしたら、カリウムと鉄分の2つです。
カリウムの含有量は野菜などに比べると半分程度ですが、ナトリウムを排出して高血圧の予防やむくみの解消に働きます。
貧血の予防と改善でお馴染みの鉄分は、ヘモグロビンの材料となります。
ミネラル類は協力して働くことが多いため、種類も量も少ないぶどうではミネラルの働きはあまり期待できません。

◎葡萄に含まれる栄養素、働きと効果その3・三大栄養素と食物繊維事情
ぶどうと言えば、ブドウ糖で、ブドウ糖といえば蜂蜜です。

勿論、ぶどうも多いですし、柿も、キウイフルーツも、バナナも多く、サクランボはぶどうに次ぐ含有量、以外とタマネギなんかもブドウ糖が多く含まれています。
ぶどうに含まれる糖質の内、その殆どが単糖類のブドウ糖(グルコース)と果糖(フラクトース)になります。
ブドウ糖の方が若干量が多いですが、ほぼ同じくらいの含有量になります。
単糖類以外の少糖類や多糖類は、単糖類が結合して出来ている訳ですが、エネルギーとして利用する場合、多糖類や少糖類を単糖類に細かくバラバラに分解する必要があります。
その点、ブドウ糖や果糖は単糖類となりますので、これ以上分解する必要が無く、即効性の高いエネルギー源として利用されます。
ブドウ糖は医療用の点滴としても利用され、ブドウ糖を点滴されると短時間で元気が出ます。
即効性の高い疲労回復剤としても有効です。
果糖は吸収された後、肝臓に運ばれてブドウ糖に変換されてエネルギーとして利用されます。
糖質は多いのですが、脂質とタンパク質は少なく、食物繊維は皮あり(皮食べる)の場合は多く、皮なし(皮食べない)の場合は少なくなります。
皮ごと食べれば食物繊維による整腸効果が期待できます。
ぶどうのカロリーは柑橘類よりやや高めで、リンゴよりも僅かに高く、柿よりも僅かに低いといった立ち位置です。
まとめると、ぶどうは高糖質で、低脂質で、低タンパクかつ、低食物繊維な低ビタミン、低ミネラルな、ちょい高めカロリー食品という事になります。

◎葡萄に含まれる栄養素、働きと効果その4・ぶどうの真打ちポリフェノール
さて、これまでの解説では、ぶどうが糖質と皮(食物繊維)以外ダメダメなフルーツ野郎という内容でしたが………ここからが本番です。
他の栄養素が低い分、ぶどうにはポリフェノールや有機酸といった重要な栄養素がタップリと含まれています。

栄養素は五大栄養素だけでは無いという事です。ビタミンやミネラルだけを重要視してはいけないという教訓がぶどうには詰まっています。
ぶどうの皮には、ぶどう特有の色を演出している青・赤・紫の色相成分で、ポリフェノールの一種のアントシアニンが多く含まれており、抗酸化作用や、視力を守る働きがあり、このアントシアニンがぶどうに含まれる代表的な栄養素になります。
目に良いとされるブルーベリーはこのアントシアニンが豊富に含まれているためです。
アントシアニンは、夜盲症の予防と改善に働く目のビタミンことビタミンAと深い関わりがあります。
ビタミンAは、光を感じる細胞の中に含まれているロドプシンという感光分子の主成分で、アントシアニンはロドプシンの合成を促進させる働きがあります。
アントシアニンとビタミンA 相互の作用を活かすために一緒に摂りたいところですが………残念ながら、ぶどうにもブルーベリーにもビタミンAはあまり含まれておりません。
近年発見された皮に含まれるレスベラトロールという名前のポリフェノールも高い抗酸化作用を持っており、高い発ガン抑制効果や、高血圧予防、肝機能の調整などの働きがあります。
皮の辺りに若干渋みを感じる時があるかと思いますが、これはポリフェノールの一種で渋み成分のタンニンによるものです。
柿や緑茶、紅茶などにも含まれており、ぶどうが原料となるワインにも多く含まれています。
ポリフェノール特有の抗酸化作用とタンニン独自と殺菌作用がありますが、鉄分と結合すると鉄分の吸収率を下げてしまうといった欠点もあります。
ぶどうにはクエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸も多く含まれており、疲労物質の乳酸を分解して疲労回復に働く他、糖質のエネルギー代謝や、胃液の分泌を促して食欲を増進させる働きがあります。
ぶどうに多く含まれているブドウ糖や果糖とはとても相性の良い栄養素です。
また、クエン酸にはカルシウムやマグネシウムと結合することで吸収しやすい状態となり、カルシウムやマグネシウムの吸収率を上げて骨太効果をサポートするといった働きもあります。
ビタミン、ミネラルこそ少ないぶどうですが、豊富なポリフェノールと有機酸の作用による疲労回復、ガンの抑制、アンチエイジング効果など、健康効果は非常に高い果物です。

◎葡萄に含まれる栄養素、働きと効果・まとめ
葡萄の主な働きと効果:即効性のあるエネルギー源、疲労回復、アンチエイジング効果、視力の維持、ガン予防、食欲増進、エネルギー代謝、殺菌作用、高血圧の予防・改善、鉄欠乏性貧血の予防・改善
◎葡萄可食部100g辺りに含まれる栄養素一覧
※生食、皮含まず。
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー(kcal) | 59 |
タンパク質(g) | 0.4 |
脂質(g) | 0.1 |
飽和脂肪酸(g) | 0.01 |
一価不飽和脂肪酸(g) | 微量 |
多価不飽和脂肪酸(g) | 0.01 |
コレステロール(mg) | 0 |
糖質(g) | 15.2 |
水溶性食物繊維(g) | 0.2 |
不溶性食物繊維(g) | 0.3 |
ナトリウム(mg) | 1 |
カリウム(mg) | 130 |
カルシウム(mg) | 6 |
マグネシウム(mg) | 6 |
リン(mg) | 15 |
鉄分(mg) | 0.11 |
亜鉛(mg) | 0.1 |
銅(mg) | 0.05 |
マンガン(mg) | 0.12 |
ヨウ素(μg) | 0 |
セレン(μg) | 0 |
クロム(μg) | 0 |
モリブデン(μg) | 微量 |
ビタミンA レチノール活性当量(μg) |
2 |
βカロテン当量(μg) | 21 |
ビタミンD(μg) | 0 |
ビタミンE(mg) | 0.1 |
ビタミンK(μg) | 0 |
ビタミンB1(mg) | 0.04 |
ビタミンB2(mg) | 0.01 |
ナイアシン(mg) | 0.1 |
ビタミンB6(mg) | 0.04 |
ビタミンB12(μg) | 0 |
葉酸(μg) | 4 |
パントテン酸(mg) | 0.10 |
ビオチン(μg) | 0.7 |
ビタミンC(mg) | 2 |
一房=100g~300g
デウウェア(一般的な品種)一房=150g
巨峰一粒=8g
■NEXTページ→に続きます。

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