■アスパラガスの雑学・緑と白の違いは?
はじめに………グリーンアスパラ、ホワイトアスパラとアスパラガスを代表する種類は2つありますが、この記事は栄養価の高いグリーンアスパラについての解説です。子供の頃ホワイトアスパラの缶詰が大嫌いだったという個人的な理由でホワイトアスパラには触れません………。

アスパラガスは多年草のユリ科の植物です。春先ににょきっと地面から顔を出した新芽を収穫したものです。
アスパラガスのβカロテン含有量は100g中380μgで、緑黄色野菜の基準600μgには届きませんが、その他の栄養素が評価されて緑黄色野菜に属しております。(※白は淡色野菜です)
大きく分けてグリーンアスパラとホワイトアスパラの2種に分けられます。
この色と食感の違いは、品種の違いでは無く栽培方法の違いによって現われたものです。
土寄せをして、土を被せて日光を遮断して育てたものが柔らかいホワイトアスパラとなり、土寄せをしないで存分に日光に当てて育てたものが固いグリーンアスパラとなります。
グリーンアスパラの方が、ホワイトアスパラよりも全体的に栄養価が高く、一言で言えばホワイトアスパラはもやしっ子です。

フランス人にとっては春の代名詞のような野菜です。特にホワイトアスパラは短い時期にだけ出回るので、日本人にとっての春に顔を出すつくしのような存在でしょうか?

古代エジプト時代では利尿薬として用いられてきました。
1800年代のアメリカで広く栽培されるようになり、現在では中国が最大の生産国となっています。
■アスパラガスに含まれる栄養素、効果と働き
◎アスパラガスに含まれる栄養素、効果と働きその1・アスパラガスに含まれるビタミン類
▼アスパラガスの持つ高い抗酸化作用ビタミンA,C、Eの相乗効果
アスパラガスのβカロテン含有量は100g中600μgという緑黄色野菜の基準には届いていないのですが、βカロテンの含有量は一日の推奨量の半分くらいを賄えるくらい多いといえる数値です。βカロテンは体内に入るとビタミンAとして働き、夜盲症の予防・改善や、抗酸化作用によりガン予防や動脈硬化の予防に効果があります。
更に抗酸化作用繋がりで、強い効果を持つビタミンEと、ビタミンCの両方が多く含まれており、アスパラガスの中にはビタミンAと、ビタミンEと、ビタミンCの抗酸化作用トリオが揃っています。
活性酸素がLDLコレステロールや不飽和脂肪酸を酸化させることで過酸化脂質が生まれて、細胞を破壊(ガン化することも………)して体に悪影響を与えるのですが、A、E、Cの相乗効果で活性酸素を除去する働きが高まります。
抗酸化作用以外にも、ビタミンCにはコラーゲンの生成や、抗アレルギー、抗ストレスなどの働きがあり、ビタミンEには性ホルモンの分泌・生成や、毛細血管を拡張させて血流を良くするといった働きがあります。
▼アスパラガスに含まれるビタミンB群で多いのは………。
ビタミンB群の中で、アスパラガスに多く含まれている栄養素は、ビタミンB1、ビタミンB2、葉酸の3つです。
ビタミンB1は疲労回復や、糖質のエネルギー代謝、脳や神経の健康維持に働き、ビタミンB2は皮膚や粘膜を再生して、人類最大の障害である口内炎予防・改善などに働きます。造血のビタミンと呼ばれる葉酸はヘモグロビンを合成する酵素の補酵素として働き、悪性貧血の予防・改善や、また、細胞の新生を促進させるなど、胎児の成長には欠かせない妊婦さんにとっては大切な栄養素です。
上記の3種以外にも、タンパク質の代謝を助けるビタミンB6と、2日酔い予防・改善のナイアシン、ビタミンCのコラーゲンの生成を助け、エネルギー代謝をサポートするパントテン酸、皮膚炎予防のビタミンのビオチンなどがバランス良く程々に含まれています。
▼ビタミンKは多い………のだけれども。
その他のビタミンそして、ビタミンKもかなり多く含まれているのですが………。
1日の目安量の4分の1程度賄えるくらい含有量は多いのですが………。
残念なことに効果や働きがちょっと孤立気味です。
カルシウムを骨へと沈着させる働きを助ける効果や、血液を凝固させてカサブタを作るビタミンKですが、アスパラガスにはカルシウムがあまり多く含まれておらず、カルシウムの吸収を促進させるビタミンDに至っては全く含まれておりません。多く含まれているビタミンKを活かすためには他の食品からカルシウムなどを持ってくる必要があります。
◎アスパラガスに含まれる栄養素、効果と働きその2・アスパラガスに含まれるミネラル類
全体的に見ると、アスパラガスに含まれるミネラル類はあまり多くはありません。
一番目立つのはカリウムで、塩分過剰気味な現代日本人にとっては有り難い栄養素です。余分なナトリウムを排出して、高血圧の予防・改善や、むくみの解消に効果があります。
骨の材料となるカルシウムやマグネシウムは腹の足しになるくらい含まれていますが、あまり多いとは言えません。
アスパラガスのみで30代~40代(男女)のカルシウム推奨量を達成する場合、アスパラガス3.4kgもドカ食いしなけばなりません。

成長期のカルシウムを一番必要としている時期で考えると、アスパラが5.2kg………210本が必要になります。まあ、それくらい微妙な数字だということです。
カリウムの他に多いミネラル類は、鉄分と銅です。鉄分はヘモグロビンの税量に、銅はヘモグロビンを合成する酵素の材料として、鉄欠乏性貧血の予防・改善に効果的です。
ビタミンB12は含まれていないのだけれども………。
葉酸と並ぶ造血ビタミンのビタミンB12は全く含まれていませんが、アスパラガスにはビタミンB12の材料となるコバルトが含まれており、こっち方面でも貧血予防に繋がるのではないかと考えられています。

◎アスパラガスに含まれる栄養素、効果と働きその3・アスパラと言えばアスパラギン酸
アスパラガスには、アスパラギン酸というアスパラの名前が付いたアミノ酸が多く含まれています。
旨味成分の一種のアスパラギン酸は、結構色々な作用があり、まず神経伝達物質として働き、エネルギー代謝を促して(高めて)疲労回復やスタミナの増強などの効果があります。カリウムやマグネシウを細胞内に効率良く取り込む働きもあり、 疲労回復の効果を謳った栄養ドリンクなどによく使われている栄養素です。オマケにアスパラギン酸には利尿効果があり、尿を合成してアンモニアを体外へと排出する働きもあります。

ビタミンPと同じ働きをする(ビタミンPの一種とも言われます)フラボノール類のルチンは、脳細胞の酸化を防ぎ、記憶力を高めて認知症予防に効果があると考えられています。毛細血管を強化して、血圧を下げる働きがあり、心臓疾患や動脈硬化、高血圧の予防・改善に効果があります。また、ルチンにはビタミンCの吸収率を上げる効果があり、ビタミンCも血圧の上昇を抑える働きがあるため、ルチンとビタミンCは相性の良い栄養素といえます。オマケにルチンには利尿効果もあります。アスパラギン酸の利尿効果と合わせて、アスパラガスを食べるとオシッコしたくなる欲求(ボルケージ)が高まるということです。
◎アスパラガスに含まれる栄養素、効果と働き・まとめ
鉄欠乏性貧血の予防・改善、非常に強い抗酸化作用による動脈硬化予防・改善、ガン予防、カルシウムを骨へと沈着させる作用、血液凝固作用による怪我の回復、高血圧予防・改善、むくみの解消、疲労回復・スタミナ増強、皮膚や粘膜の健康維持、毛細血管拡張による血流の改善、脳細胞の活性化による認知症の予防、エネルギー代謝、タンパク質の代謝、最後にオシッコしたくなる欲求(ボルケージ)上昇、など
■NEXTページ→に続きます。

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