■レタスの雑学・歴史
焼肉葉っぱ界のボスで知られるサンチュもレタスです。
レタスはキク科の多年草でヨーロッパ中南部、西アジア、アフリカが原産地と言われています。
和名は:ちしゃ、英語で書くと:Lettuce
学名はLactuca sativaLで、Lactはラテン語で乳という意味です。
これは、レタスの茎を切ると、白い乳液を出すことに由来しています。
紀元前6世紀には栽培され食用とされていたようです。
日本でのレタスの歴史は意外と古く、平安時代に中国から伝わりました。
当時から”ちしゃ”、”玉ちしゃ”と呼ばれており、レタスと呼ばれるようになったのは最近のことです。
ヨーロッパでは、鎮静作用のあるレタスが「浮気の熱を冷ます」と言われており、浮気性の旦那に毎日レタスを食べさせると浮気が治って帰宅すると言われています。

レタスには水耕栽培と土壌栽培があり、それぞれ含まれる栄養素が少し違ってきます。
■レタスに含まれる栄養、効果と働き
レタスは突出して多く含まれている栄養素は多くありませんが、バランス良く色々な栄養素が少しずつ含まれています。
◎レタスに含まれる栄養、効果と働きその1・レタスに含まれるビタミン類
レタスに含まれているビタミン類の中で、ハッキリと多いと断言できるものは葉酸くらいです。
葉酸は、鉄分の補給では改善しない、悪性貧血(巨赤芽球性貧血)の予防と改善に効果的な栄養素で、タンパク質や核酸(DNA・RNA)の合成をサポートして胎児の成長を助けます。妊婦さんには必要な栄養素です。
葉酸の次に多いのはビタミンKですが、血液の凝固作用があり、怪我をした箇所でカサブタを作る働きと、カルシウムを骨へと沈着させて、骨密度を維持する働きがあります。

葉酸、ビタミンKの他には、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、パントテン酸なども含まれてはいるのですが、含有量は推奨量の20分の1くらいか、それ以下という数値となり、物足りない感じです。

◎レタスに含まれる栄養、効果と働きその2・レタスに含まれるミネラル類
ビタミンと同様にレタスに含まれるミネラル類はあまり多くはありません。
多いと言えるのは鉄分くらいなものです。鉄分は、ヘモグロビンの材料となり、鉄欠乏性貧血の予防と改善に働く他、エネルギーの生産に関与している栄養素です。
レタスには、カリウムもそこそこ含まれています。カリウムは余分なナトリウムを排出して高血圧の予防・改善に働く他、細胞の水分量を調節してむくみの解消に役立ちます。

骨の素材となるカルシウムやマグネシウムも含まれてはいるのですが、十分な量ではありません。
◎レタスに含まれる栄養、効果と働きその3・三大栄養素のバランス
レタスは野菜の中ではダントツにカロリーが低い食品です。食品全体の中でもかなり低い数値で、カロリーという一面だけを見るとダイエットに向いている食品です。
しかし、レタスではビタミンも、ミネラルも、十分な量が摂れません。
レタスをダイエットに取入れる場合は、その辺りの栄養バランスを十分に考慮した上で計画的に実行することをお勧めします。
脂質が少なく、タンパク質も少なく、糖質は並盛り、序でに食物繊維も並盛りです。
レタスには食物繊維が多いという印象があるかと思いますが、他の野菜と比べても特に多いということはありません。
レタスは、低タンパク、低脂質、並糖質、並食物繊維な野菜です。
脂質、糖質、など摂りすぎ注意の栄養素があまり含まれてないため、逆に言うとモリモリ食べても大丈夫な、安全パイ的な性質もあります。
◎レタスに含まれる栄養、効果と働きその4・その他の栄養素、鎮静作用と安眠効果
レタスは95%以上が水で出来ています。
水を摂れば、当然オシッコがしたくなりますので、レタスには利尿作用があるとも言えます。カリウムの作用と合わせて、余計なナトリウムを体外へと排出する働きが期待できます。
レタスは身体を冷やす作用があります。
レタスの学名の由来にもなっている、Lactはラテン語で乳という意味です。
レタスの茎を切ると、白い乳液が染み出てきます。
この物質は、ラクッコピコリンと呼ばれるもので、安眠効果があり、イライラの解消にも役立ちます。(………というのは嘘っぱちです!)

レタスには安眠効果があると解説したネットの記事や書籍が多数存在しています。結論から言うと、ラクッコピコリンという物質はこの世に存在しておりません。(ラクッコピクリンとも呼ばれるようです。どっちでもいいけど………)何故この偽情報が広まっているのかというと、その昔、日曜日に放送されていた「発掘!あるある大事典」という番組でレタスを使ってマウスを眠らせるという内容の捏造実験が放送されたからです。スタッフが捏造の映像を作り、専門家として大学教授が「ラクッコピコリンには即効性がある」という、科学的根拠の無い解説をして、これが全国に広まったからです。
では、ラクッコピコリンという名前はどこから来ているかといいますと、レタスの親戚に、ワイルドレタスというアメリカやイギリスに自生しているハーブの一種があるのですが、これ含まれるラクチュコピクリンという苦味物質には、アヘンに似た鎮静効果と、催眠効果があります。番組で解説した偉い先生は、ラクチュコピクリンを→ラクッコピコリンと読み間違えたのではないでしょうか。

◎レタスに含まれる栄養素、効果と働き・まとめ
レタスの主な働きと効果:鉄欠乏性貧血の予防・改善、悪性貧血(巨赤芽球性貧血)の予防・改善、タンパク質や核酸(DNA・RNA)の合成サポート、利尿作用、沈静・解熱作用、ナトリウムの排出、高血圧の予防・改善、むくみの解消、血液の凝固作用、カルシウムを骨に沈着させるなど
◎レタスの可食部100g辺りに含まれる栄養素一覧
レタスの栽培方法には、土壌栽培と水耕栽培の2つがあり、土壌栽培はそのまま普通の畑で取れたヤツで、水耕栽培は土の代わりに肥料入りの培養液によって育ちます。温度や光が調節されながら栽培されます。
土壌栽培と水溶栽培では、含まれる栄養素に少し違いがあり、全体的に見ると水耕栽培の方が栄養素(ビタミン・ミネラル)の含有量が微妙に多いのですが、葉酸は土壌栽培のほうが倍くらい優れており、水耕栽培はβカロテンの含有量が高くなり、緑黄色野菜の基準である100g辺り600μg以上という数値を上回っているくらいです。
栄養素 | 土壌栽培 | 水耕栽培 |
---|---|---|
カロリー(kcal) | 12 | 14 |
タンパク質(g) | 0.6 | 0.8 |
脂質(g) | 0.1 | 0.2 |
飽和脂肪酸(g) | 0.01 | 0.02 |
一価不飽和脂肪酸(g) | 微量 | 微量 |
多価不飽和脂肪酸(g) | 0.03 | 0.05 |
糖質(g) | 1.7 | 1.8 |
水溶性食物繊維(g) | 0.1 | 0.2 |
不溶性食物繊維(g) | 1.0 | 0.9 |
ナトリウム(mg) | 2 | 2 |
カリウム(mg) | 200 | 260 |
カルシウム(mg) | 19 | 34 |
マグネシウム(mg) | 8 | 10 |
リン(mg) | 22 | 30 |
鉄分(mg) | 0.3 | 0.3 |
亜鉛(mg) | 0.2 | 0.1 |
銅(mg) | 0.04 | 0.01 |
マンガン(mg) | 0.13 | 0.38 |
ヨウ素(mg) | 1 | – |
セレン(mg) | 0 | – |
クロム(mg) | 0 | – |
モリブデン(mg) | 微量 | – |
ビタミンA レチノール活性当量(μg) |
20 | 59 |
βカロテン当量(μg) | 240 | 710 |
ビタミンD(μg) | 0 | 0 |
ビタミンE(mg) | 0.3 | 0.3 |
ビタミンK(μg) | 29 | 58 |
ビタミンB1(mg) | 0.05 | 0.03 |
ビタミンB2(mg) | 0.03 | 0.03 |
ビタミンB6(mg) | 0.05 | 0.05 |
ナイアシン(mg) | 0.2 | 0.3 |
ビタミンB12(mg) | 0 | 0 |
葉酸(μg) | 73 | 44 |
パントテン酸(mg) | 0.2 | 0.06 |
ビオチン(mg) | 1.2 | – |
ビタミンC(mg) | 5 | 5 |
※”-”と記入されている部分は未測定のデータです。
レタス一玉(中)=約200g、(大)=350g、大きい葉1枚=約10~30g


■レタスのお勧め調理方法、レタスでは不足する栄養素を補う食材との組み合わせ
レタスの特徴としては、低カロリー、低脂質、低タンパクで、ビタミン類、ミネラル類、があまり含まれていないため、栄養摂取を考えるとマイナス面が多く目立ちます。
この栄養素をこの様にして部分的に補うという考え方より、全体的に補ってやる必要があります。
一応葉酸と鉄分が多いため、貧血の改善を狙うのであれば、造血ビタミンのビタミンB12を摂取したいところです。ビタミンB12は動物性食品に多く含まれており、タンパク質の少ないレタスにとっては、卵、肉、ツナなどが相性の良い食材となります。タンパク質とビタミンB12が同時に摂取可能なため、サラダなどにトッピングする頻度が高いこれらの食材は、栄養面では理にかなったお勧めな組み合わせと言えます。
生食の場合は、やはりサラダとして食べるのが手っ取り早いかと思います。
トマト、茹でたブロッコリー、キャベツ、貝割れ大根、豆苗など色々な野菜と合わせて食べると十分な栄養素が摂取可能です。
脂質も大事な栄養素ですので、マヨネーズ、ドレッシングをかければ、序でに摂取可能です。
タンパク質は、茹でた豚肉や卵と一緒に摂るか、ブロッコリーからでも摂取可能です。
海藻サラダにすると、ビタミン類、ミネラル類の摂取を強化することが出来ます。
月並みの言葉ですが、バランス良く食べる事が大事です。これ健康の基本です。
レタスは加熱すると、水分が抜けてグッタリする性質があります。
生の場合、シャキシャキ感があって、それはそれで良いのですが、カサが多いため、あまり多くの量を食べれないというデメリットもあります。
レタスには身体を冷ます作用があるため、冷え性の方などは、夜にサラダで食べるのはお勧めできません。スープなどにして加熱する調理方法がおすすめです。
炒める場合は外の葉よりも内側の葉を使うのがうおススメです。
外の葉はスジっぽいため、炒め物には不向きです。柔らかい内側の葉を使うと食べやすくなります。
健康とは関係ありませんが、レタスの葉を鍋に浮かべるとアクを吸着するという性質を持っています。レタスの外葉を捨てる方も多いかと思いますが、どうせ捨てるくらいなら、良く洗ってアク取りシートの代わりに鍋に放り込んでやるとアク取りシートの代わりになるためお勧めです。

■レタスの種類・品種
◎普通のレタス
キャベツのように葉が巻いて結球するタイプで、クリスプヘッド型と呼ばれています。
玉レタスとも言います。
◎サラダ菜
結球していない状態で売られていることが多いのですが、結球する性質があります。
表面に光沢があるため、バターヘッド型と呼ばれています。
緑色が濃く、触感が柔らかく、クリスプヘッド型と比べると、ビタミン類、鉄分、カルシウムなどの栄養素が多く含まれています。
◎リーフレタス
別名:ちりめんちしゃ、青ちりめんちしゃ
紙をくしゃくしゃに丸めた後に伸ばしたような、シワシワの縮れレタスです。
クリスプヘッド型は白い部分が目立ちますが、リーフレタスは全体的に緑で統一された色合いとなっています。
非結球タイプで、クリスプヘッド型に比べるとシャキシャキ感やみずみずしさは少なくなります。
サニーレタスはリーフレタスです。サニーレタスとは商品名(ブランド名)で、昭和40年代に付けられた名前です。
色は全体的に緑が濃く、葉先が赤紫色になっているという特徴があります。
サンドイッチや、焼き肉(サンチュの代わり)にも使われます。


◎サンチュ
サンチュもレタスです。
別名:かきちしゃ、チマ
韓国産のイメージがありますが、日本でも古くから栽培されていました。
一時期は姿を消しましたが、焼き肉を包むという需要が増えたため、再度普及してメジャーになりました。赤紫系と、緑系の2種類があります。
下から順に葉を収穫するため、掻き取るといういみで、かきちしゃと呼ばれています。(いました。)
◎コスレタス
別名:立ちちしゃ、ロメインレタス
エーゲ海のコス島で栽培されている品種です。
フワッと纏まりの無い、巻きが弱い………レタスと言うより、白菜に近い形状をしています。


ほんのりと苦味があり、加熱してもシャキシャキ感が残る根性のある品種です。
クリスプヘッド型は球体ですが、その名の通りはが立っていることから立ちちしゃという名前もあります。


■レタスの保存方法
ビニールか、ポリ袋に入れて、野菜室で保管して下さい。レタスやキャベツは切ったりするとその断面が空気に触れることで痛んでいきます。真っ二つにして保管するのではなく、出来るだけ1枚ずつ千切って使用すると長持ちします。
■良いレタスの選び方
- 巻きが柔らかく,全体的にふんわりしているほうが、食感が柔らかくて苦味も少ない。
- 葉に張りと艶がある物が新鮮で、下の真の部の切り口が茶色く変色していない物も新鮮です。
- 葉っぱの先が萎びてちょっと丸まっているものは鮮度が落ちます。