■モロヘイヤの雑学・歴史
シナノキ科の植物で、原産地はエジプトです。
英語で書くと:Tossa jute、Moroheiya
別得名:とろろ菜・台湾つなそ
日本人と似つきあいは浅いためちょっと誤解されがちですが、人類とのつきあいはかなり古く、紀元前3000年前にはエジプトで食用となっていました。
水分の少ない砂漠地帯でも元気に育つ生命力の強い植物で、アフリカ北部~中近東辺りで広く食べられています。
モロヘイヤの栄養素は古くから人類に認知されており、古代エジプトではファラオ的な人が病気(多分ビタミンの欠乏症ではないでしょうか?)になって苦しんでいる時にモロヘイヤスープを飲んで回復したことから、王様の野菜と呼ばれて王族以外口にすることを禁じられていました。

ビタミン類もミネラル類もその他の栄養素も他の野菜とは桁違いに多く含まれています。

日本での歴史は浅く、本格的に栽培が開始され普及したのは1980年代に入ってからです。
旬の時期:6月~8月
■モロヘイヤに含まれる栄養素、働きと効果
◎モロヘイヤに含まれる栄養素、働きと効果その1・モロヘイヤに含まれるビタミン類
モロヘイヤには、他の野菜と比べてみるとそれはもう桁違いに多くのビタミン類が含まれています。

動物性食品と一部の海藻にしか含まれていないビタミンB12と、野菜には含まれていないビタミンDは例外として、モロヘイヤの中にはほぼ全てのビタミンが揃っています。
少ないのはナイアシンくらいなもので、種類だけではなく1種毎の量も多いというとんでもない野菜です。
▼モロヘイヤには抗酸化作用ビタミン三兄弟が揃っています。
モロヘイヤは緑黄色野菜です。
それもただの緑黄色野菜ではなく、可食部100g辺りβカロテンが600μg以上という緑黄色野菜の基準を大きく超えて突き抜けた緑黄色野菜です。
モロヘイヤのβカロテンの含有量は、タマネギの1万倍です!
タマネギ1個200gとして、タマネギ2トン分の量に相当します。


βカロテンは抗酸化作用を持ち、体内ではビタミンAとして働きます。
ビタミンAは視力を維持したり、鼻や口などの粘膜や、皮膚を健康な状態に保つことで感染症を予防して免疫力を高める働きがあります。
モロヘイヤには抗酸化作用を持つβカロテン(ビタミンA)+ビタミンC+ビタミンE3種揃っています。
ビタミンCの含有量は、野菜・果物の中でも多く、ビタミンEに至ってはこれほど高い数値は野菜類を見渡してもまずお目にかかれません。
それぞれ違った場所や作用によって、ガンや老化、動脈硬化の原因となる活性酸素を除去するため、相乗効果でかなり高い抗酸化作用を発揮します。
また、ビタミンCも免疫力を高める働きがあり、ビタミンAと合わせて感染症の予防にも役立ちます。
▼モロヘイヤはビタミンB群も豊富(てんこ盛り)
アミノ酸とタンパク質を分解・合成して身体の組織を造ったり、三大栄養素のエネルギー生産など、様々な代謝をサポートする働きを持つビタミンB群は、単体では効果が薄く、お互いにサポートし合いながら働いています。
そのため、まとめて摂取することが推奨されています。
モロヘイヤにはビタミンB群が多く含まれており、一度にまとめて多くの量を摂取出来るため、お手軽に代謝の働きを上げるには最適な野菜です。
モロヘイヤに含まれるビタミンB群の中で、含有量が最も多く一番目立つ栄養素は葉酸です。
含有量は、ほうれん草よりも多く、造血ビタミンと呼ばれる葉酸は、悪性貧血(巨赤芽球性貧血)の予防・改善に働く他、核酸(DNA・RNA)の合成や細胞分裂に関わる栄養素で胎児の成長には欠かせません。妊婦さんにとっては大事な栄養素です。
他にも、皮膚炎の薬になるビオチン、
HLDコレステロール(善玉)を増やしたり、ホルモンの合成など様々な酵素の働きをサポートするパントテン酸、
神経伝達物質の合成や、つわり・月経前症候群の症状改善に働くビタミンB6、
疲労回復ビタミンことビタミンB1、
人類最大の敵である口内炎の予防・改善に働き、序でに皮膚や髪や爪の健康を維持するビタミンB2、
他のビタミン類と比べると若干少なめですが、アルコールを分解して二日酔いの原因物質も分解するナイアシン。
………と、この様にモロヘイヤにはビタミンDとビタミンB12以外のビタミンが揃っており、その健康効果も様々です。
◎モロヘイヤに含まれる栄養素、働きと効果その2・モロヘイヤに含まれるミネラル類
モロヘイヤに含まれるミネラル類はビタミンと同様に種類も豊富で量も多く、少ないのはヨウ素、セレン、ナトリウムの3種だけです。
▼高血圧予防・改善と骨太効果(カリウム、カルシウム・マグネシウム・マンガン)
ナトリウムに関しては摂りすぎの傾向が見られる現代日本人にとって、少ないということは逆に健康的と言えることなので、この場合はプラスに働きます。

まず、体内の余分なナトリウムを排出して高血圧の予防と改善に働き、細胞内の水分やPH(酸性・アルカリ性の濃度)調節に役立つカリウムですが、他の野菜と比べても多く含まれており、平均値の2~3割増しといった含有量です。
骨の材料となり、筋肉を収縮させるカルシウムは、モロヘイヤ以上に多く含まれている野菜を探すのは難しいという程に多く、数値的には大根の葉っぱと同じ含有量です。
同じく骨の材料となり、カルシウムと協力して筋肉の収縮させて心臓を動かす働きをするマグネシウムも多く含まれています………こちらは普通に多い感じです。(驚く程の数値ではありません。でも多いちゃぁ多い)
モロヘイヤの骨太効果はまだまだこんなものではなく、骨の代謝に関わるマンガンも多く含まれており、骨を分解、合成する酵素の成分として働くマンガンは、骨の健康維持には欠かせない栄養素です。
マンガンは他にも抗酸化作用を持つ酵素や、エネルギー代謝に働く酵素の構成成分となり多方面で色々と働く栄養素です。
▼モロヘイヤは貧血にも有効です。(鉄分・銅・モリブデン)
モロヘイヤには貧血対策として効果的なミネラルの………鉄分、銅、モリブデンが揃っており、鉄分はヘモグロビンの材料として、銅は赤血球を合成する酵素の材料として、モリブデンは鉄分からヘモグロビンを造り出す環境を管理する役割を持ち、それぞれが連携して貧血の予防と改善に働きます。
更にモロヘイヤには貧血対策に効果的なビタミンも多く含まれており、ビタミンCは鉄分の吸収率を上げ、ヘモグロビンの合成を助ける働きがあり、造血ビタミンの葉酸は血液製造のサポートをします。
このように、ミネラルとビタミンとの連携があるため、モロヘイヤの貧血予防・改善効果はかなり優秀なものになります。

▼モロヘイヤには血糖値を下げる作用もあります。(亜鉛・クロム)


亜鉛は、200種類以上の酵素の構成成分として様々な働きをしています。
味覚を正常化させたり、タンパク質や核酸(DNA・RNA)の合成して身体の組織を造ったり、血糖値を下げるインスリンを合成したり、エネルギー代謝や抗酸化作用、生殖機能の維持など、その働きは多岐にわたります。
クロムはインスリンの働きを強化するため、亜鉛とは相性の良い栄養素です。マンガンもインスリンの合成に関わるため、インスリン関連のミネラルが3種揃っているモロヘイヤは糖尿病や脂質異常症の予防には最適な食品です。
マンガンには脂質の代謝を促進させて、血液中の中性脂肪や、コレステロールの量を下げる働きもあります。
ミネラルはお互いに連携して働くことが多く、横の繋がり(関わり)が強い栄養素です。
ミネラルの種類が多いということはそれだけで、相乗効果が自然と高くなり健康効果も自然と増すということになります。ビタミンも合わせて一度に沢山の栄養素を摂取出来るモロヘイヤは手っ取り早く健康効果を得るためには最適な食品です。
◎モロヘイヤに含まれる栄養素、働きと効果その3・三大栄養素+食物繊維事情
モロヘイヤのネバネバ成分は、糖質とタンパク質が結合して出来た糖タンパク質で、ムコ多糖類の一種のムチンによるものです。
胃の粘膜を保護したり、タンパク質や脂肪の消化を助けて、肝臓や腎臓の働きをサポートする作用があります。
血糖値の上昇を抑える作用もあり、糖尿病の予防にも効果的です。
モロヘイヤに含まれる食物繊維は、野菜の中でも特に多く、不溶性食物繊維、水溶性食物繊維の両方共豊富に含まれています。
消化を遅らせて血糖値の上昇を緩やかにする働きは糖尿病を予防します。
腸内のコレステロールや脂質、有害物質を排出したり、善玉菌の餌となり腸内環境を整えることで便秘の予防・改善、免疫力の向上に働きます。
タンパク質も多く含まれており、モロヘイヤのマッチョ度は、世のマッチョ共に愛されているブロッコリーを超える数値を誇ります。
逆に、糖質と脂質は少なく、コレステロールはゼロです。
脂質は他の野菜に比べると少し多めですが、数値としては少ない方です。
情報をまとめると………モロヘイヤという野菜は、高ビタミンで、高ミネラルで、高タンパクで、低糖質で、低脂質で、食物繊維てんこ盛りの、並カロリーな、ヌルヌルムチンムチン食品ということになります。

◎モロヘイヤに含まれる栄養素、働きと効果。まとめ
モロヘイヤの主な働きと効果:抗酸化作用、免疫力向上、コラーゲンの合成、三大エネルギーの代謝、アミノ酸・タンパク質の代謝、疲労回復、鉄欠乏性貧血の予防・改善、血糖値上昇の抑制、糖尿病の予防、高血圧の予防・改善、むくみの解消、肝臓・腎臓の働きをサポート、アルコールの分解、二日酔いの予防・改善、腸内環境の改善、便秘の予防・改善、コレステロール値を下げる、味覚の正常維持、生殖機能健康維持、ホルモンの合成、骨太効果、成長促進、つわり・月経前症候群の症状改善など。
◎モロヘイヤ可食部100g辺りに含まれる栄養素一覧
栄養素 | 含有量 |
---|---|
エネルギー(kcal) | 38 |
タンパク質(g) | 4.8 |
脂質(g) | 0.5 |
飽和脂肪酸(g) | 0.07 |
一価不飽和脂肪酸(g) | 0.03 |
多価不飽和脂肪酸(g) | 0.24 |
コレステロール(mg) | 0 |
糖質(g) | 0.4 |
水溶性食物繊維(g) | 1.3 |
不溶性食物繊維(g) | 4.6 |
ナトリウム(mg) | 1 |
カリウム(mg) | 530 |
カルシウム(mg) | 260 |
マグネシウム(mg) | 46 |
リン(mg) | 110 |
鉄分(mg) | 1.0 |
亜鉛(mg) | 0.6 |
銅(mg) | 0.33 |
マンガン(mg) | 1.32 |
ヨウ素(μg) | 4 |
セレン(μg) | 1 |
クロム(μg) | 2 |
モリブデン(μg) | 15 |
ビタミンA レチノール活性当量(μg) |
840 |
βカロテン当量(μg) | 10000 |
ビタミンD(μg) | 0 |
ビタミンE(mg) | 6.5 |
ビタミンK(μg) | 640 |
ビタミンB1(mg) | 0.18 |
ビタミンB2(mg) | 0.42 |
ナイアシン(mg) | 1.1 |
ビタミンB6(mg) | 0.35 |
ビタミンB12(μg) | 0 |
葉酸(μg) | 250 |
パントテン酸(mg) | 1.83 |
ビオチン(μg) | 13.6 |
ビタミンC(mg) | 65 |

■NEXTページ→に続きます。

- 1
- 2