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脂質と脂肪酸その4~トランス脂肪酸の健康被害は?1日の摂取目標値は2g未満トランス脂肪酸を多く含む食品は?~

■飽和脂肪酸と不飽和志望餡とトランス脂肪酸

脂質と脂肪酸その1では飽和脂肪酸、その2では不飽和脂肪酸を、その3ではコレステロールを解説してきましたが、その記事の中ではこの様な主張をしてきました。
世間のイメージでは不飽和脂肪酸が良い脂肪酸で、逆に飽和脂肪酸が悪い脂肪酸だという説が定着しています。コレステロールの場合は、LDLが悪玉として有害であり、HLDが善玉として有効に働くというイメージが定着しています。
しかし、悪いイメージを持つ飽和脂肪酸の中でも中鎖脂肪酸(ココナッツオイル)は太りにくく、認知症の予防・改善に期待できるなど、飽和脂肪酸でも脂肪酸の種類によっては一般的なイメージは当てはまりません
全体的に善とされている不飽和脂肪酸も同様で、大事なのは摂取バランスになります。コレステロール値を下げるなど、体に良いとされているオメガ6も摂りすぎると炎症やアレルギーなどのリスクを抱えています。飽和、不飽和共に言えることですが、脂肪酸の種類や状況によっては善にも悪にもなるため、大きなカテゴリでこいつ等は善、こいつ等は悪などと一括りに判断せず、的確な見極めが重要になります。
コレステロールの場合は、それ自体が大事な栄養素として働きますので、決して有害な物質ではありません。悪玉と呼ばれていますがLDLの作用もそれ自体は悪ではありません。
脂質の関する世間の大雑把な善・悪のイメージは決して間違いではありませんが、それだけが正解だとも言えません。

脂質と脂肪酸の性質を理解して、何が悪で何が善なのか………といった正しい判断が出来るように知識を脳みそに流し込む………ことを目的とした記事が脂質と脂肪酸シリーズです。

みなぎるスローガン、「健康への第三歩は、信憑性の低い情報に流されないこと」
前置きが長くなりましたが、今回は脂質と脂肪酸第4弾、テーマはトランス脂肪酸です。
今回は世間のイメージを否定するような前回までと違い、世間様のイメージ通り、トランス脂肪酸は悪だと断言します。

■トランス脂肪酸とは

◎トランス脂肪酸のはじまりはマーガリン

トランス脂肪酸とは、分子構造を人工的に変化させることで、脂肪酸の脂質を意図的に変化させた脂肪酸のことです。(※自然から作られた物(例外)もあります。)

トランス脂肪酸が多く含まれている代表的な食品は、マーガリンです。
植物油の多くは不飽和脂肪酸(オレイン酸【オメガ6】・リノール酸【オメガ6】・α-リノレン酸【オメガ3】)が含まれており、常温では固まらない(液体の状態)性質を持っています。ごま油、オリーブ油、なたね油、亜麻仁(アマニ)油など………。
一方、バターに多く含まれている脂肪酸は飽和脂肪酸(パルミチン酸・ステアリン酸・ミリスチン酸など)で、常温では固体の状態を保っています。バターの原料は牛乳であり、植物油よりは高価な原料になります。コスト面を改善して生産性を上げるべく、安い植物油を原料としたバター風の食用油が人工的に作られました。それがマーガリンです。

◎トランス脂肪酸は人工的に作られた加工油脂

常温では液体の状態の植物油が多く含まれている不飽和脂肪酸に水素を添加することで、常温でも固まる性質を持たせることができます。この人工的に作られた脂肪酸がトランス脂肪酸であり、マーガリンとなります。

不飽和脂肪酸の炭素同士が二重結合している部分には水素が1つだけ結合して折れ曲がっている箇所があります。その箇所に水素をくっつけてやると、折れ曲りが無くなり、飽和脂肪酸のように真っ直ぐな形へと変化します。

トランス脂肪酸水素添加
【エビとわさびチューブは気にしないでください。基本画像は使いまわし】

また、融点が上がるため常温でも固体の状態を保てる性質………飽和脂肪酸寄りの性質に変化するのですが、では不飽和脂肪酸に水素を加えることで飽和脂肪酸に変化したのかというと、話は少し複雑になります。

例えば炭素数が18個のオリーブオイルに多く含まれているオメガ9系の不飽和脂肪酸のオレイン酸と、同じく炭素数が18個の牛脂・豚脂などに多く含まれている飽和脂肪酸のステアリン酸を例に挙げて見てみると、両者の違いは飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸で、この違いは二重結合の有無によるものです。二重結合云々につきましては、脂質と脂肪酸その1その2を参照してください。

二重結合のある不飽和脂肪酸のオレイン酸に水素を添加すると、折れ曲りが無くなり真っ直ぐな分子構造に変化します。融点も13℃から47℃へと上がり、高い温度(常温)でも固体の状態を保てるように性質が変化します。

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トランスフォーム!!

では不を宇和脂肪酸のオレイン酸が飽和脂肪酸のステアリン酸に変化したのかというと、それは違います
オレイン酸が変化したのはステアリン酸(融点70℃)ではなく、トランス脂肪酸のエライジン酸(融点47℃)になります。

要するに、不飽和脂肪酸のオレイン酸に水素を添加すると、二重結合の折れ曲りが無くなり真っ直ぐな分子構造に変化して更に融点も上がります。飽和脂肪酸のステアリン酸にかな~り近い構造となるのですが、飽和脂肪酸に変化した訳では無く、トランス脂肪酸のエライジン酸に変化したという事です。

残念ながら
オレイン酸(不飽和脂肪酸)+水素=ステアリン酸(飽和脂肪酸)にはなりません。
オレイン酸(不飽和脂肪酸)+水素=エライジン酸(トランス脂肪酸)になるのです。

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エライジン酸………偉そうな名前のくせに害のある脂肪酸

◎トランス脂肪酸の種類・加工油脂の種類

まず前置きとしてトランス脂肪酸の種類ですが、多くの種類が存在しています。しかしながら、種類ごとの危険性や働きなどの詳細なデータはありません。トランス脂肪酸はまだまだ研究段階の栄養素?なのです。

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トランス脂肪酸は栄養素なのか?危険性はあることは確かですが、中には無害の物が見つかる可能性も………。今後の研究に期待。

マーガリンやショートニング、ファストスプレッドなどの加工油脂がトランス脂肪酸を多く含んでいます。
1813年フランスで、バター不足を解消するためにバターの代用品として作られたのがマーガリンです。
ソフトタイプとファットスプレッドの2種があり、ソフトタイプは発酵乳、食塩、ビタミンなどを添加して混ぜ合わせた物で、油脂含有量は80%以上と決められています。
ファストスプレッドは果実やチョコレート、ピーナッツなどを加えた物で、油脂含有量は80パーセント未満と決められています。

ラードの代わりとして作られたのがショートニングです。市販のクッキーなどに添加されておりサクサクした食感を出すために用いられます。

■トランス脂肪酸の性質・もうちょっと詳しく。

◎トランス脂肪酸と飽和脂肪酸と一般的な(トランス脂肪酸以外の)不飽和脂肪酸の違い

分子構造が真っ直ぐで常温で固体の状態を保つといった共通点を持つトランス脂肪酸と飽和脂肪酸ですが、油脂としての性質は似ていますがその違いは明らかです。

しつこいようですが、不飽和脂肪酸が不飽和脂肪酸たらしめる特徴(チャームポイント)は二重結合にあります。

ライター2の画像
二重結合はチャームポイントではない、そもそも脂肪酸はかわいくなど無い

二重結合の箇所に水素が添加されて、不飽和脂肪酸のチャームポイントが変化してしまい、飽和脂肪酸によく似た性質を持つトランス脂肪酸へと変化します。
しかし、変化したからといって二重結合が失われるわけではなく、トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸のままで、飽和脂肪酸の性質を持つイレギュラーな脂肪酸へと変化したという事です。

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トランス脂肪酸は不飽和脂肪酸………そこは変わらず。でもパッと見は飽和脂肪酸。

では不飽和脂肪酸が変化したトランス脂肪酸と飽和脂肪酸の違いは何所にあるのかというと………トランス脂肪酸の場合、二重結合を持ったまま真っ直ぐな形になっており、一方飽和脂肪酸は二重結合が無い真っ直ぐな形で、同じ真っ直ぐ構造であっても二重結合の有無が違います。

次にトランス脂肪酸とトランス脂肪酸以外の不飽和脂肪酸との違いですが、二重結合の箇所の水素のくっつき方が異なります。不飽和脂肪酸はシス型でトランス脂肪酸がトランス型になっており、この違いと二重結合の有無が不飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の性質の違いになります。

シス型
【不飽和脂肪酸の二重結合:シス型】
トランス型
【トランス脂肪酸の二重結合:トランス型】

少しややこしいので違いをまとめると………。

脂肪酸の種類 折れ曲がりの有無 二重結合の有無
飽和脂肪酸 真っ直ぐな構造 二重結合無し
不飽和脂肪酸 折れ曲がり構造 シス型
トランス脂肪酸 真っ直ぐな構造 トランス型

基本的に食事から摂取するトランス脂肪酸の殆どは、不飽和脂肪酸に水素を添加して人工的に作られたものですが、自然界にもトランス脂肪酸は存在します。牛乳やバターといった乳製品や、牛肉などにもトランス脂肪酸は含まれており、これは牛の胃袋に住んでいる微生物がトランス脂肪酸を作り出してそれを牛が吸収するからです。
牛と同じ反芻動物の山羊や羊も胃の中に住む微生物からトランス脂肪酸が作られています。

羊の画像

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奴等………平和そうな顔しやがって、腹の中ではしれーっと、トランス脂肪酸などといった危険物を作っていやがったのか………。メリーさんの監督責任問題は否めないでしょうな………。

反芻動物とは一度飲み込んだ草を胃の中からオエッと戻して口の中で再び租借する習性を持った動物のことです。牛は4つの胃袋を持っているというアレのことです。ちなみにヤギも羊も胃袋は4つです。

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ついでにキリンも4つ。キャベツはゼロ。

トランス脂肪酸の全てが人工的に生み出されるわけではありません、動物から合成されるトランス脂肪酸の量は極わずかなため、健康被害は気にしなくてもよさそうです。

■トランス脂肪酸の健康被害

トランス脂肪酸はLDLコレステロール(悪玉)を増やして↑HLDコレステロール(善玉)を減らす↓作用が確認されています。
他にもアレルギー性疾患などを起こす原因と考えられていますが、ハッキリとした因果関係は判明しておらず、まだまだ研究段階であるということは否めません。

1980年頃の話ですが、飽和脂肪酸(動物性脂質)が悪というイメージが強く持たれており、不飽和脂肪酸(植物性脂質)から作られているトランス脂肪酸は良い油だと思われていました。
結論から言うとこの認識は勘違いで、動脈硬化や脳梗塞などの疾患を予防するために、飽和脂肪酸(バター)を控える傾向が強くなりました。その代用品として悪い働きをするトランス脂肪酸(マーガリン)を積極的に摂り続けた結果「全く改善されない、ちょっとアンタ!どーなってんのよ!責任者でてこいやー!」………という話になりました。
植物性だからという理由で体に良いとされてきたトランス脂肪酸ですが、実は逆に悪い脂肪酸で、動物性の飽和脂肪酸よりもLDLを増やす作用が高いことが判明しました。それ以降近年では広く浸透しているトランス脂肪酸=悪党のイメージが定着ています。

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LDLを増やす飽和脂肪酸の代わりにトランス脂肪酸を摂ってみたところ、コイツ実はもっと酷い悪党だった………というオチ。

トランス脂肪酸はLDLを増やしてHLDを減らす訳ですから、それはそれは血管に悪く作用します。血管を詰まらせて動脈硬化や心疾患、脳梗塞などの怖い病気を引き起こします。コレステロールの詳細は脂質と脂肪酸その3で………。

トランス脂肪酸と飽和脂肪酸の健康被害はどっちが上?
飽和脂肪酸よりもトランス脂肪酸の方がLDLを増加させる割合が大きく、飽和脂肪酸に比べるとトランス脂肪酸の方が体に悪い物質だと思われがちですが、本当に注意が必要なのは飽和脂肪酸の方です。トランス脂肪酸は体に悪いということは周知の事実であることは間違いありません。しかし、近年ではトランス脂肪酸を減らそうとする動きが活発で、加工食品にもトランス脂肪酸の使用を控える傾向が見られます。昔はトランス脂肪酸の摂取量が飽和脂肪酸を超えていましたが近年ではこれが逆転しているようです。つまり何が言いたいのかと言いますと………トランス脂肪酸よりも飽和脂肪酸の摂取量が多いため、全体的に考えた場合、LDLを増やす作用は、トランス脂肪酸よりも飽和脂肪酸の方が大きいとみるべきだということです。※ここで言うところの飽和脂肪酸というのは、太りにくい体に良いとされている中鎖脂肪酸を除いた、LDLを増加させる働きを持つ、悪いタイプの飽和脂肪酸です。
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LDLを増やす作用はトランス脂肪酸の方が強いですが、摂取量を考えると飽和脂肪酸のほうが要注意ということです。

■トランス脂肪酸はどんな食品にどれだけ含まれている?

◎トランス脂肪酸を多く含む食品

食品100g中にふくまれるトランス脂肪酸(g)

食品 トランス脂肪酸含有量(g)
食パン 0.046-0.27
クロワッサン 0.29-3.0
カップラーメン 0.028-0.16
ポップコーン 13
油揚げ 0.12-0.22
がんもどき 0.068-0.13
牛乳 0.069-0.13
ヨーグルト 0.065-0.11
生クリーム 1.0-1.2
アイスクリーム 0.28-0.6
バター 1.7-2.2
マーガリン 0.94-13
ショートケーキ 0.4-1.3
シュークリーム 0.26-0.93
ビスケット 0.036-2.5
クッキー 0.21-3.8
ポテチ 0.026-1.5
チョコレート 0-0.71
カレールウ 0.78-1.6
ハヤシルウ 0.51-4.6

◎トランス脂肪酸は1日にどれだけ摂って良いの?

トランス脂肪酸を多く含んだ安価な加工油脂は、スナック菓子、菓子パン、冷凍食品、レトルト食品など幅広く使用されており、それらを食べると自動的にトランス脂肪酸も摂取されてしまいます。身近な食品に含まれているトランス脂肪酸の摂取量をゼロにすることは現実的ではありません。
欧米では100g中に含まれるトランス脂肪酸の量を2g未満に抑えるなど、トランス脂肪酸を厳しく規制する動きがあり、アメリカでもトランス脂肪酸の含有量の表示を義務づけるといった動きがありますが、日本では特にそういった規制はありません。

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確かに食品表示でトランス脂肪酸の量が書かれている商品は見たことが無い。その辺りメーカーの不親切さを感じます。

トランス脂肪酸を規制しない日本ですが、これにはそれなりの理由があったりもします。
日本人はトランス脂肪酸の規制がある欧米諸国と比べるとトランス脂肪酸の摂取量が少ないとされています。1日の平均摂取量は1g未満とされており、国際的な摂取目標値の2g未満を下回っているため、規制するまでも無いといった姿勢をとっているようです。

具体的にどれくらいまでなら摂取しても良いのかと言いますと、日本人を対象にした明確なデータは存在しません。現状では国際機関の定めた目標値を参考にするしかないかと思います。

1日2g未満。

これは加工食品を食べ過ぎなければ十分実現可能な数字です。
例えばマーガリンをパンに塗って食べる程度では全然問題は無く、トランス脂肪酸が自然に含まれている乳製品も、警戒する必要があるかと言えば………それ程気にする必要も無い数字です。

■トランス脂肪酸についてのまとめ

トランス脂肪酸は人工的に作られた加工油脂に多く含まれており、菓子などマーガリンやショートニングが使われている食品に多く含まれています。加工食品を食べ過ぎない限りはトランス脂肪酸を摂りすぎるということはありません。トランス脂肪酸を警戒するよりは、むしろ飽和脂肪酸の摂りすぎに注意することをお勧めします。人工物以外でも牛、羊、ヤギなどの反芻動物の乳や肉にも含まれていますが、含有量は極微量のため今のところ健康被害の報告は無く、量から判断しても問題ないレベルです。

トランス脂肪酸には色々な種類がありますが、種類ごとの効果や健康被害の情報は無く、まだまだ研究段階の分野です。

脂質の場合、大事なのはバランスと過剰摂取にならない程度の摂取制限です。

飽和脂肪酸(3):一価不飽和脂肪酸(4):多価不飽和脂肪酸:(3)
※多価不飽和脂肪酸(オメガ3(1):オメガ6(4))

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