■ビタミンB2とは何者?
ビタミンB2はビタミンB群に属する水溶性のビタミンです。
化学名:リボフラビン
ビタミンB2が発見されたのは1926年のことで、この頃は脂溶性のビタミンをA、水溶性のビタミンをBと呼ばれており、当時ビタミンはA、Bの2種類しかありませんでしたが、アメリカ在住のシャーマンという研究者が、水溶性のビタミンBを熱で分解されやすい性質を持つ物質B1と、熱では分解されにくい安定した性質を持つ物質B2の2つに分類しました。
これがビタミンB1とビタミンB2の誕生です。
その後の1933年、シャーマンさんは、牛乳から黄色色素を取り出して、この物質がビタミンB2と同じであるということを証明しました。牛乳から発見され、牛乳に多く含まれていることから別名ラクトフラビンとも呼ばれています。
A、B、1、2………栄養素の名前の由来を知ると発見や研究の歴史が見えてきます。

あと、なんとなく名前がかっこいいビタミンです。
”ビタミンビィーツゥー”と言う響きは、”びたみんけえ”と比べると154倍スタイリッシュです。
■ビタミンB2のお仕事、エネルギー作ったり、タンパク質合成したり………。
◎ビタミンB2の働きと役割その1 三大栄養素を分解してエネルギーを生産します。
ビタミンB2は、三大栄養素(脂質、糖質、タンパク質)の代謝には欠かせない栄養素です。三大栄養素を分解してエネルギーに変える酵素の補酵素として働きます。
特に脂質をエネルギーに変えるときに多く消費される栄養素で、脂質の燃焼には欠かせません。
同じくエネルギーの代謝に関わるビタミンB1との違いですが、糖質の代謝を生業としているビタミンB1に対して、ビタミンB2は脂質の代謝に特化しています。

◎ビタミンB2の働きと役割その2 脂肪の燃焼と血中コレステロールを低下させます
脂質の代謝に働くビタミンB2ですが、単にエネルギーを生産するだけでは無く、脂質の一種であるコレステロールを分解して血中コレステロール値を下げる効果もあります。脂っこいものを食べすぎた時にビタミンB2を意識して摂取すると脂質が分解されるため、肥満防止に効果がある栄養素と言えます。

◎ビタミンB2の働きと役割その3 体の組織の代謝に働く、発育のビタミン
ビタミンB2の補酵素としての役割は、エネルギー生産だけではありません。タンパク質を分解して再合成する役割を持つ酵素の補酵素にもなります。爪、髪、皮膚などの細胞の再生(新陳代謝)に関わり、髪や皮膚を健康に保つ働きもあります。
新陳代謝が活発に起こる目や口の粘膜などはビタミンB2によって保護されているようなもので、ビタミンB2が不足すると口内炎が出来やすくなるのはこういった理由によるものです。
成長を促す働きもあり「発育のビタミン」とも呼ばれています。一時は成長という意味の単語growth(グロース)の頭文字を取って、ビタミンGと呼ばれていた時期もありました。
特に成長期の子供には欠かせない栄養素です。”発育には牛乳を飲むと良い”というイメージは間違っておらず、カルシウムやタンパク質だけでは無く、牛乳に多く含まれているビタミンB2の役割や存在が大きいからです。
ここでいう”発育”とは、あくまで身体、肉体の成長という意味で、精神、心の成長は促してはくれません。ビタミンB2を摂取し続けても悟りは開けませんので、心の成長を望まれる方は自然と触れ合う、小難しい本を読む、自己開発セミナーを活用するなどして別の方向から頑張ってください。
◎ビタミンB2の働きと役割その4 過酸化脂質を分解します。
ビタミンB2の補酵素としての働きはまだエネルギー代謝、タンパク質の代謝に続いて、グルタチオン・ペルオキシターゼという酵素の補酵素として、過酸化脂質を分解、除去します。
ビタミンEは過酸化脂質を抑制する作用があるのに対して、ビタミンB2は過酸化脂質を分解、除去する働きがあります。ビタミンEの働きは抗酸化作用で、ビタミンB2の働きは酸化除去作用といったところでしょうか………。どちらも細胞の老化を防ぎ、ガン予防、動脈硬化予防などの効果があります。
解りにくいので補足します。過酸化脂質は基本悪党です。色々悪さをします。ざっくり説明すると、ビタミンEは過酸化脂質を作らせない様に、裏で手を廻し(別に裏じゃ無くてもいいけど………)過酸化脂質が出来る前に、それを未然に防いでいます。それでも造られてしまった過酸化脂質は、ビタミンB2が必殺仕事人の如く、捻り殺します。


◎ビタミンB2の働きと役割・まとめ
薬局などで、ニキビの改善や肌荒れ対策のサプリメントをよく見かけます。言わずとも知れた美容界のパイオニア。
ビタミンB2は健康を維持するためには欠かすことの出来ないとても身近で馴染みの深いスーパー栄養素なのです。
ビタミンB2の主な役割:三大栄養素のエネルギー代謝、細胞の再生(新陳代謝)、皮膚や粘膜、毛髪の保護、老化防止、がん予防、動脈硬化予防、肥満防止、成長促進、コレステロール値抑制、人類の敵:口内炎からの最終防衛ラインの維持など
■ビタミンB2の性質
ビタミンB2は水溶性ですが、若干水に溶けにくく、熱にも耐性があるため加熱による調理中の損失は少ない栄養素です。光に弱いため保管場所には要注意です。
ビタミンB2は小腸で吸収された後、血液に乗って肝臓、腎臓、心臓に運ばれ、FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)、FMN(フラビンモノヌクレオチド)という物質(補酵素)に変身します。
ビタミンB2はFAD、FMNとして、三大栄養素の代謝に働くフラビン酵素の補酵素として、エネルギーや体の組織(タンパク質)の合成をサポートしています。人体ではFADの割合が多く、7割から9割程の割合です。

量の違いはありますが、肉、魚、野菜、きのこ、乳製品など、ほぼ全ての食品に含まれている栄養素です。
乳酸菌などの腸内細菌によって体内でも合成されます。
ビタミン入りの栄養ドリンクやサプリなどの錠剤が黄色いのは、ビタミンCの色によるものだと勘違いしている方は多いと思いますが、それは間違いです。ビタミンCは無色です。黄色くなっている原因はビタミンB2にあります。同じように、ビタミンCの摂りすぎでオシッコが黄色くなったという体験談をよく耳にしますが、これも間違いで、オシッコを着色しているのはビタミンB2の仕業です。勘違いの原因は………恐らくですがビタミンC=レモンのイメージが強く、レモン=黄色となり、そこからビタミンC=黄色という間違った認識を連想させるためではないかと推測します。ビタミンCを飲んでオシッコが黄色くなる人はとりあえず病院に直行して下さい。そんな特殊な体質を持っている人は新人類を名乗れるかと思います。


■ビタミンB2の摂りすぎ、逆に不足するとどうなる?過剰症と欠乏症
◎ビタミンB2の過剰症
ビタミンB2は、過剰気味になると吸収率が下がり、余剰分は尿と一緒に排出されるため、サプリメントなどの大量摂取以外では過剰症の心配はありません。
◎ビタミンB2の欠乏症
ビタミンB2は幅広い食品に含まれており、腸内細菌によって体内でも合成されるため普通の食生活では不足する可能性は低い栄養素です。
偏った食事などにより、ビタミンB2不足すると、各組織の代謝が上手く働かず口内炎や口角炎、ニキビなどの皮膚炎や肌荒れ、髪質の低下、成長障害、眼精疲労などの障害が起こります。
ポテトチップスやおせんべいに口に中をズタズタにされ、翌日できた口内炎により、精神的にもズタボロにされた経験のある方は、もうちょっとだけお上品にポテチ囓るか、齧る前にビタミンB2を摂取するかの対策をお勧めします。

■ビタミンB2の効率の良い摂り方
ビタミンB2はレバーや乳製品、魚介類、キノコ類、緑黄色野菜に多く含まれます。水溶性のため長時間水にさらしたり、茹でたりすると栄養素が流出してしまいます。損失を防ぐために茹で汁や煮汁を捨てない調理方法がお勧めです。
熱による調理中の損失は少ないため、煮るなり炒めるなりお好みでどうぞ………。
大豆にはビタミンB2があまり含まれていませんが、正義の力に目覚めて大豆が変身した納豆には多く含まれているため、毎日食べる健康食品としてはお勧めです。
抗酸化作用のあるビタミンE、A、Cなどとは相性が良く、過酸化脂質対策として一緒に摂取すると相乗効果が期待できます。Eも、Aも、Cも、魚介類、肉、野菜、果物、海藻など幅広い食品含まれていますので、肉だけ………野菜だけではなく、バランス良く食べようとする意識を持つことが、多くの種類のビタミン摂取に繋がります。
皮膚や髪の材料となるタンパク質の摂取も忘れずに………。
やっぱり一番手っ取り早く採る方法は牛乳です。ビタミンB2は光に弱い性質を持っているため、透明な瓶よりも光を遮断できるパックの方が残存量は多くなります。
■ビタミンB2を多く含む食品
乳製品、卵、レバー、ウナギ、しめじ、まいたけ、きくらげ等のきのこ類、豆苗、モロヘイヤ、しそ、納豆、ビスコ。